その9 渡米して驚く予防接種の数
お子さんのおられる方で、アメリカへ来て驚かれるのが、予防接種の種類とその数の多さでしょう。プリスクールと呼ばれる幼稚園前の学校、幼稚園、それと小学校などの入学入園時、アメリカでは、予防接種の証明を提出することになっています。
アメリカでは、各州の州法で必要最低限の予防接種が決められていますが、実際には、CDCと呼ばれるアメリカ連邦政府の機関である疾病管理センター及び、小児科学会、家庭医学会が毎年共同で作成する予防接種のスケジュールに従って、予防接種が施行されるのが普通です。アメリカで生まれ、幼稚園に入園するまで必要とされる予防接種の数は20本以上あります。それを1回につき3−5本一度に接種します。例えば、生後2ヶ月、4ヶ月、6ヶ月、1才、15ヶ月、4才と6回に分けて接種するのです。
アメリカの予防接種事情を知っている人は、渡米前に自分の子供にある程度の予防接種を受けさせて来られる方が多いのですが、アメリカにしかない予防接種もいくつかあります。
A君の場合、日本で受けてきた予防接種の記録を見ると、数本だけで、ほとんど受けてないとの同じです。
私「A君。きょうの注射は、20本だね。」
A君「ひぇー。本当?」
A君は、もう8才になって、しっかりした感じなので、こんな調子で冗談が言えますが、4才以下の小さい子や、注射に対して恐怖感を持つ子供には、こんな冗談は通じません。
私「A君。ごめん、ごめん。ここにもう1枚注射の記録があったよ。それに、5才を過ぎてるので、えーっと、今日は、注射は1本だけだった。よかったね。」
A君 「あーっよかった。」(安堵してため息をついている)
時々、注射の本数の多さにびっくりされて、
「うちの子が可哀想なので、何回かに分けて接種してください。」
と頼まれる方がおられますが、注射のような子供にとって「恐ろしい」ものは、1回で済むなら、1回で終わらせてあげた方がいいんじゃないかと私は思うのですが。副作用は数本一緒に打っても、一本づつ打ってもかわりません。クリニックへ来る度に、注射では、クリニック=恐ろしい所、あるいは痛いことをする所という潜在概念ができてしまう可能性があります。その結果、病気で受診する時に、恐怖心から泣いてしまい、肝心の心臓や肺の聴診が正確にできないことになってしまいます。子供のことを考えてあげるということが、結果的には子供によってよくないこともあるのです。(ただし、5−6本の注射を2回程度に分けることはあります。)