
その2 「私も」病
ついつい自分の話を出してしまうドクター
私は、いいのか悪いのかわからないのですが、患者さんに同情するあまり、「同病相哀れむ」の精神で、私の経験談をついつい話ししてしまうことがあります。「実は私も、 ‐‐‐なんです。」と。高血圧や喘息を始め、比較的頻度の高い病気になったことがあるので、私の経験談を語る機会も多いのです。「私も‐‐‐。」とドクターが自分の経験談を語ることが、患者さんとのコミュニケーションを図る上で実際、どの程度効果があるのかはなはだ疑問ですが、私の場合、一応それで、患者さんとのコミュニケーションを円滑に図ろうとか、病気に対する理解を深めてもらおうとか、と言う意図が無意識下にあるのです(本当かな?)。問題は、よく脱線してしまうことなのです。
高血圧の患者を診る時は、「私も高血圧があるんですが、これぐらいの量の薬はたいしたことないですよ。私なんかOOさんの4倍の量を飲んでいるんですよ。副作用はいろいろありますが、高血圧を放置しておく方がもっと怖いですよ。」、腎結石の患者さんには、「私も腎結石があるんですが、最初に腎結石の発作に見舞われた時は、倒れて意識がなくなりそうでしたよ。強力な痛み止めを出しますから心配しないでください。」、喘息の患者さんには、「私も喘息があるんですが、それは、引越しした時に、すごいほこりを吸ってしまい、それで喘息が出るようになったんです。喘息は予防が肝心、アレルギー源を避けることです。」‐‐‐と言った具合。
婦人科の病気は、あまり「私もその病気にかかったことが‐‐‐。」と言えない唯一の領域です。また、子供には「先生も子供の時にその病気になったことがあるんだよ。」と言っも無視されるか、きょとん、とされるだけなので、子供相手には控えています。
時々、調子に乗り過ぎてかなり脱線してしまうことがあります。「OXさん、これは、切れ痔のようですね。(一通り、切れ痔の説明をした後で)私も医学生の時、切れ痔で苦しんだんです。ある夏のことおしりが痛くて、痛くて、とても我慢できなくなったんです。そしたら、血がおしりから出てきて。これはやばいなと思って、それで、食事の量を減らしたら便があまり出なくていいんじゃないかな、と思ってあまり食べないようにしたんです。そしたら、かえって便が固くなって、おしりが更に痛くなって、暑い夏の日に、汗をかきながら、うんうんとお通じをしてたんです‐‐‐‐」(誰がこんな話聞きたいんじゃ!‐‐‐さすがの私も初診の患者さんにはこんな話はしません。もう2度と来てくれないかも知れないので‐‐‐)
医療分野